閉店後、椅子を戻していたら、足もとで小さく音がした。拾ったのは、銀色の鈴がひとつついたチャーム。星屑ライトを映して、手のひらの上で妙におとなしくしてた。試しに揺らしたら一度だけ鳴って、名前を呼ばれたみたいで少しむかつく。クラゲまで振り向いたように見えたけど、たぶん気のせい。…べつに、驚いてない。
落とし物の小皿に置いたのに、片づけのたび目がそっちへ行く。エナジードリンクの缶のそばじゃ音が騒がしくなる気がして、カウンターの端へ移した。誰の夢から外れてきたのか知らないけど、見つけてもらうまで暗いままじゃ可哀想だから、ラベンダーのナプキンも敷いておいた。明日、君が「あ、それ」って顔をしたら返す。違ったら触らないで。もう一度鳴るか、私が先に確かめるから。
