閉店前、三日月型のカウンターで銀のスプーンを磨いていた。一本だけ、どうしても小さな曇りが消えなくて、少しむきになって布を往復させたら、天井の星屑ライトが丸い匙の中にすっぽり入った。傾けるたび、ラベンダーの光が流れて、手のひらに夜を飼ってるみたい。…べつに、こういうのではしゃいでないけど。

そのスプーンは、まどろみショコラの横にそっと置いておいた。マシュマロをすくうとき、君にも同じ星が見えるかと思っただけ。結局、渡す前にもう一度だけ磨いたのは、指紋が気になったから。それ以上の理由はない。夢の底の光って、持ち帰れないくせに、道具の端っこに勝手に残るんだよね。今夜の星が少し近く見えたなら、たぶん銀の匙のせい。