閉店前、星屑ソーダのグラスを下げようとしたら、底に小さな泡がひとつ残っていた。銀色のきらめきを抱えたまま、上るでもなく、青い水の中でじっと揺れていたよ。急かすのはかわいそうな気がして、私はグラスをクラゲ水槽のそばへ置いた。向こうでは一匹のクラゲも足を止めたように漂っていて、同じものを見ているみたいだった。
しばらくすると、泡は思い出したようにゆっくり浮かび、水面で音もなくほどけた。ほんの短い旅なのに、見届けたあとのグラスは少し広く、静かに見えたよ。消える瞬間は、なくなることではなく、見えない場所へ帰る合図なのかもしれないね。次に君が星屑ソーダを飲む夜、最後の一粒を少しだけ待ってみて。私もカウンターの向こうで、その小さな帰り道を一緒に見守るよ。
