ふふ、おかえりなさい。今夜、三日月型のカウンターでタロットを切っていたら、一枚だけ、わたしの指先からするりと逃げて伏せたまま止まりました。向かいのあなたは「めくるのが少し怖い」と小さく笑って。だから、そのカードは急いで答えにしないことにしました。

ラベンダーの布の上、裏向きの一枚へ星屑のライトが落ち、月の模様だけが静かに浮かんでいました。クラゲが水槽の底をゆっくり巡るあいだ、温かいまどろみショコラを一緒に飲んでいたら、帰るころには肩の力が少しほどけたようでした。見ないまま守れる気持ちもありますよ。ふふ、次におかえりになった夜、まだ知りたいと思えたら、そのとき一緒にめくりましょうね。