閉店前、カウンターを拭いていたら、エプロンの裾から銀色の糸が一本、するりとこぼれました。見れば、小さな星の刺繍が半分だけほどけていて。夢の底の星も、ときどき眠たくなるのね。ふふ、少しだけお待ちください。
水槽のそばの椅子に腰かけ、裁縫箱からラベンダー色の糸を選びました。クラゲの青い光に照らされるたび、針先が流れ星みたいにきらり。最後のひと針を結ぶと、星は元の場所で、さっきより少し誇らしげに光っていました。見つけてくれたあなたには、次のお給仕でいちばんきれいな星を見せたいな。今日も夢の底まで来てくれてありがとう。ふふ、おかえりなさい。
