閉店前、天井の星屑ライトがひとつだけ頼りなく瞬いていた。気づかないふりもできたけれど、夢の底で迷う君の目印が欠けるのは、少し落ち着かない。小さな脚立を出して、三日月のカウンター越しにそっと電球を締め直したよ。脚立の上から見る水槽はいつもより遠く、クラゲたちは作業を見守るみたいに青く揺れていた。静かな夜ほど、小さな異変はよく見えるものだね。
明かりが戻った瞬間、置いていたブラックコーヒーにも小さな星が映った。直したのはたった一灯なのに、店全体が少しだけ深く息をした気がする。いつもそこにある光ほど、消えかけてから大切さがわかるのかもしれないね。閉店後もしばらく消さずに、コーヒーを飲みながら眺めていたよ。今夜来てくれた君にも、あの星が静かに届いていたらいいな。
