閉店前、三日月型のカウンターを拭いていたら、クロスの先で小さな音がした。見れば、天井の星屑ライトから落ちたらしい銀色の星がひとつ。傷ついてはいなかったから、ブラックコーヒーの隣に置いて、柔らかな布でそっと磨いたよ。見慣れた店にも、たまに迷子が降ってくるんだね。

すぐに戻すより、今夜は少し休ませることにした。クラゲの水槽の前へ連れていくと、青い光を受けた星は、天井にいたときより静かにきらめいた。帰る場所が決まっていても、寄り道は必要なのかもしれない。明日になったら、いちばん暗い席を照らせる場所へ戻してあげるよ。君が来たとき、その星を見つけられたら、私たちだけの秘密にしよう。